H&Mが中国で独自サイトECを展開する理由
今年も過去最高の売上高を記録したTmallのシングルデーセール。売上ランキングで全体の6位に入ったユニクロを筆頭に、数多くのアパレルブランドがTmallに出店しています。ファストファッションでもZARAやForever21も出店している他、デンマーク系のJack&Jonesが早くからTmallに取り組み、オンラインマーケティングの成功事例を作ったとして知名度を上げています。その一方、H&Mは中国では比較的難しいとされる独自サイトでのEC展開に取り組んでいます。
本記事の内容
・H&Mは独自ECサイトを展開
・シャネルとディオールのケース
・まとめ 中国EC市場で進む多様化
■H&Mは独自ECサイトを展開
中国の大都市では、大型の商業施設に入ると、H&Mの店舗を見かけることが多くなっています。中国での出店数は既に360店舗に上っており、知名度・人気共に高いものがあります。現在、そのネット販売については、Tmall上では行わず、独自サイトのオンラインショップhm.comで展開しています。
Tmallでは、かなり自由にページ設計をすることは可能になっているものの、やはり機能やコンテンツでも制限が存在します。H&Mの運営しているこの独自サイトでは、電子雑誌を展開したり、販売とは直接関係しないインタビュー記事や、ファッション・コスメに関する記事コンテンツ等が展開されたりしています。その他、実店舗では取り扱っていない、H&M Homeの商品も販売する等、多様な取り組みが行われています。
■シャネルやディオールも独自サイトを展開
また、シャネルやディオールも独自サイトを展開。WeChatアカウントとも連動させ、動画やゲーム等、リッチなコンテンツを楽しみながら購入できるよう工夫されています。WeiboやWeChat等と制限なくリンクさせられるのも独自サイトのメリットの一つです。
ディオールではバッグを自分の好みにカスタマイズできるようにしたり、オンライン限定アイテムを販売したりと、独自サイトに力を入れています。このように、高いブランディングを守るため、Tmallに出店せずに、世界観を守った上で、独自サイト販売戦略を貫くところも増えてきてます。
■まとめ 中国EC市場で進む多様化
以前は、商品の真偽性、決済や物流への不安から、中国のEC市場はなかなか発展してきませんでした。しかし、タオバオやTmall、京東といったプレイヤーが市場シェアを伸ばしていき、既に多くの消費者が抵抗なくネット上でショッピングをするようになっています。アパレルでも、ユニクロを筆頭に大手プラットフォームで大成功を収めるところが増えてきています。そして、現在はこうしたプラットフォーム内の店舗だけではなく、独自ECサイトでの販売額も上昇してきており、市場の成長が進んで来ているとも言えます。今後も、WeChatと連動した販売形態、またLIVEとの連携等、その販売方法はますます多様化してくることが予測されます。