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2016年Tmall(天猫)独身の日セールを詳細分析!中国EC業界の現在と未来

今年のシングルデーのセールが1日で1.9兆円の取引額となったことは各媒体で報道されている通りです。それぞれ詳細なデータを紐解くことで、中国EC界の現在、そして今後の発展の方向性を分析します。

本記事の内容
・今年の取引額、成長率、スマホ比率、トップ10店舗など基本データ
・ジャンル別TOP5データ、天猫国際の国別データ
・動画、紅包、VR、O2O等、1.9兆円到達へのプロモーション手法
・中国EC業界の今後の展望

■データから見るシングルデー

①成長率
天猫の独身の日セール。開始当初は、わずか9億元だった取引額が、昨年は912億に、そして今年は1207億元(約1.9兆円)となりました。成長率は緩やかになってきていますが、それでもまだ昨対比32%と高い数値を保っています。

天猫シングルデー売上グラフ
(http://h5.ppj.io/ZmY4U1MK/ より引用。下記も同様。)

②スマホ比率
2013年の時点では15.3%だったスマホからの購入者率が、今年では8割以上となっています。1207億中の988億がスマホ経由となり、日本よりも格段にECのスマホ化率が進んでいることが分かります。

売上トップ10店舗
今年のトップは蘇寧易購(蘇寧電器のECサイト)。小米、荣耀(華為のスマホ)、ハイアール、ユニクロ、魅族(スマホメーカー)は4年連続でTOP10入りを果たしています。今年の特徴としては、スポーツブランドが伸びており、ナイキとアディダスが初のトップ10入りとなりました。全体でも94ブランドが「億元クラブ」の仲間入り(1億元以上の売上)となりました。

天猫売上トップ10

④地域別
広東、浙江、江蘇、上海が4年連続でトップ4, そして北京が続いています。人口の多い広東省がトップに、その後にEC利用者の多い浙江省、江蘇省が続き、大都市の上海、北京となっています。

■ジャンル別データ、天猫国際は日本が首位!

①スマホ売上高TOP5
1位 アップル、2位 小米、3位 荣耀(華為)、4位 魅族、5位 華為
売上金額としては、アップルが首位となりました。これは、蘇寧旗艦店やアップル旗艦店でも売られたためです。販売個数としては、小米が首位。華為の荣耀シリーズは天猫の他、京東でも販売していたため、販売量が上昇しています。

天猫スマホランキング

②自動車
アウディ、ジャガー、フォルクスワーゲン、マセラッティも参加。年々参加するブランドが増加しています。スマートが1元秒殺(タイムセール)を実施、アウディが限定車種を準備し、アコードも割引券を出す等、各ブランドがそれぞれの施策を行いました。その結果、店舗「汽車之家」では、13.4万台の予約が入り、頭金だけで196億元の売上となりました。

③化粧品
中国メーカーの「百雀羚Pechoin」が、1.45億元と首位になりました。そして、日系ではSK-Ⅱも1億元を突破。エスティローダー、ランコムもトップ5入りを果たしています。

Tmall化粧品ランキング

④飲食
飲食店やチェーン店が参戦。ケンタッキーはシングルデー限定のクーポンを発行し、ARによるスマホゲームを展開。スターバックスもこの日のためだけのドリンクを用意し、オフライン店舗とも連動して、ショッピング体験を向上させました。

⑤天猫国際
国別では、上位から順に日本、アメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツとなりました。店舗別では、オーストラリアの健康食品を取り扱う「ケミストウェアハウス」が首位。日系では、おむつのムーニーとミキハウスがTOP5にランクイン。その他は、アメリカ系のコストコやスニーカーショップも人気を博しています。全体での売れ筋商品は、紙オムツ、粉ミルク、フェイスパック、スキンケア、腕時計となっています。

■プロモーション

①動画番組
天猫シングルデー グローバルフェスティバルには、アリババの馬雲をはじめ、ベッカム夫妻やコービー・ブライアントら海外の有名人も出演。累計視聴者は600万人、いいね数は1.4億件となりました。

②紅包
時間帯ごとに分けて、紅包が配布されました。終了の1時間前には5000万元(約8億円)の紅包がばら撒かれ、取引額の増加に拍車がかけられました。

③VR&AR
「BUY+」という企画が実施され、3Dのバーチャル店舗でのショッピングが楽しめる工夫が凝らされました。これには、メーシーズ、コストコ、P&Gも参加。日系でもマツキヨやTOKYO OTAKU MODEが名を連ねました。オンラインとオフラインの垣根、地域の制限を越え、数百万人の消費者が新しいショッピング形式を体験しています。

④オフライン店舗との連動
蘇寧・TCL・ユニクロ・GAP等、100万店舗以上が、オフライン店舗と連動。商品の受け取り、交換等を実施しました。GAPでは天猫旗艦店と店舗システムを連動させ、消費者の近くの店舗まで配送し、最短で2時間で手元に届けるというケースが出ています。

■まとめ

①ECも総合マーケティングとコンテンツの時代に
「数を打てば当たる」という時代から、細かくターゲティングを行い、それぞれにアプローチする時代に突入。ソーシャル、インフルエンサーLIVE、VR・AR等によって、インタラクティブなショッピング体験を向上。例えば、百貨店でのバーチャル3D店舗体験、自動車のバーチャル試乗、またアパレルでのスマートミラーによる試着、インテリアでも仮想空間に家具を配置する等、様々な施策が登場しています。こうした体験型のコンテンツにより、地域の制限を越えたマーケティングを実施することが可能になります。こうしたエッジのきいたコンテンツがソーシャルでの拡散を巻き起こします。

②EC発展の方向性「ソーシャルEC」
スマホ、ソーシャル、カスタマイズが中国EC業界のメインストリームとなってきています。オリジナルのコンテンツやインフルエンサーを絡めた企画を実施。ソーシャルによって拡散させ、ECで成約させるという図式です。その手段として、拡散性の高いインフルエンサーLIVE、コンバージョン率の高いECサイト内の記事体広告等、その他、SEMやターゲティング広告など、その特性に応じた使い分けが必要となります。個性的なコンテンツを好む中国の80後、90後の若者たちを引き付けるため、企画のプランニングの重要性が今後ますます高まります。

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