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ショートムービー元年到来! TikTokの人気コンテンツから見えてくる「短視頻映え」のコツ

2018年も3か月が過ぎましたが、今、中国では「短視頻」と呼ばれるショートムービーに注目が集まっています。昨年2017年は、撮影している動画を即時SNSに配信する「ライブ中継」が人気でしたが、このライブ中継よりももっとデータの時間が短いコンテンツをショートムービーと呼びます。昨年Musical.ly(※)と合併したTikTok(中国語名:抖音)もショートムービーを共有できるSNSです。手軽に音楽を組み合わせることができるのが特徴で、同様のサービスを提供するSNSに比べユーザーの年齢制限が低く設定されており、若者の関心を集めています。

TikTok公式サイトより)

本編ではショートムービーについての基礎知識、現在までの潮流、そしてTikTokを例にヒットにつながるコンテンツのヒントを紹介します。

※ミュージックビデオのような、洗練された雰囲気の動画を生成、共有できるサービス。2015年にはiOSアプリのランキングで全米トップとなった。北米の企業だが、2017年11月に、中国版スマートニュースとして知られるToutiao(中国名:今日头条)で名をはせるByte Dance が買収した。

■短視頻=ショートムービーとは

ショートムービーの定義

中国国内外のインターネット業界の動向を報じる「36Kr」のレポートによれば、「ショートムービー」とは5分以内の動画をアップする形式のSNSをさします。その特徴はユーザーが簡単に動画を作成できること・即時アップロードが可能なこと・配信者と視聴者どちらとして参加するかを意識せずサービスを楽しめることの3点です。

参考:https://36kr.com/p/5111159.html

2017年のショートムービー利用者の拡大

中国のモバイルアプリ・モバイルユーザーのデータ研究機関MobileQuestの発表によると、2017年9月のショートムービーSNSのユーザーの利用時間は前年同期比311.3%と非常に大きくなっています。

ユーザーに「時間の細分化」の意識が広まった結果、短時間で視聴できるショートムービーの需要が拡大したと考えられます。

現在のところ、ショートムービーのコンテンツはUGC(企業ではなく、一般ユーザーによって制作されたコンテンツ)が主流となっています。視聴者の笑いを誘うような「面白い」内容の動画がコンテンツの多くを占め、人気を博しています。

参考:http://www.woshipm.com/evaluating/745945.html

■ショートムービー業界の地図を読む~快手、美拍、秒拍、小咖秀そして抖音~

これまでのショートムービーSNSといえば快手、美拍、秒拍、小咖秀といったプラットフォームやアプリが有名でした。中国IT大手のテンセント、アリババ、Sina社もそれぞれ同事業に注力しており、テンセントは同業界の重鎮である快手に投資しています。その他にもショートムービー業界に対する投資がいくつも行われています。

Byte DanceのTikTokも昨年から今年にかけて特に順調にユーザーを拡大しています。TikTokは中国で人気のネット番組「The RAP of CHINA」のスポンサーを務め、同番組の出演者がTikTokにアカウントを開設し、そこからユーザーが増加してきたといいます。単日のアプリダウンロード件数首位は連続16日を記録し、人気ゲーム「王者荣耀」の18日連続に次ぐ記録となっています。
参考:http://news.163.com/17/0731/13/CQM74MQO00018AOP.html

▲2018年の春節期間を含むショートムービーサービスのDAU数推移。オレンジ色がTikTok。業界トップの快手は同期間を通じて1万超を記録している。

■TikTokの人気おもしろコンテンツはどんな動画?

TikTokは音楽のショートムービープラットフォームを自称しています。Musical.lyと同様のUIで、洗練された雰囲気の動画を簡単に作れることでユーザーを惹きつけています。

たとえば自分が視聴して「これかっこいい!」と思ったコンテンツの画面から、ワンタップで利用している曲を表示させ、その画面から音楽に合わせて動画を撮影(これも画面上の録画ボタンを押すだけ)、ショートムービーが完成します。

2018年3月下旬現在、バズっている動画の一つに「答案茶」という名前のカフェのオーダーシーンがあります。実際の画面をとりあげながら、同カフェのサービスとそれがTikTok内で拡散されている理由を考察します。

このカフェでは、オーダーとともに店員への「質問」を提出します。「質問」は金色のペンでカップの外側を覆う紙のスリーブに記入して店員へ渡します。たとえば以下のコンテンツでユーザーが記入した質問は「2018年の運勢はどんな感じ?」です。

すると、ラテアートで犬の顔と「旺!旺!旺!」と書かれた商品が出てきます。「旺」の中国語の音は「ワン」。2018年は戌年のため、犬の鳴き声をかけた漢字です。「旺」の字は「さかん」の意味を持ち、新年のお祝いムードにふさわしい一文字でSNS上での新年の挨拶にもよく見られます。さしずめ「うまくいくよ!」といったところでしょうか。

ラテアートの完成度は高く、商品を受け取って思わず他人に見せたくなる購入者の心理は想像に難くありません。「短視頻」の作品にはアップテンポで気持ちが上向くようなBGMが流れ、15秒程度であまり時間も使わずに視聴できます。見ているこちらも思わず驚きと感動を抱く動画です。

このカフェのオーダー時の質問とそれに対するラテアートの「答案」は、紹介した以外にも多数の動画がアップされています。ビジュアルのインパクト、その場一回限りの芸術品のような希少性が、ユーザーの「投稿したい」心理を後押しし、結果として認知拡大につながっている様子がうかがえます。

■まとめ~現代の生活スタイルにマッチした短視頻~

勉学に励む学生時代に限らず、経済発展とともに就職後は仕事に追われる中国人も増えています。隙間の時間で手軽に見られ、生活に楽しみを与えてくれるショートムービーは現代の中国人の生活スタイルに合ったコンテンツ形式と言えるでしょう。つい先日TikTokには通販のタオバオサイトへ直接遷移する機能が備わったとのニュースもありました。訪日中国人向けのプロモーションでも、現地で人気となっているプラットフォームをいち早く取り入れ、流行のスタイルに合わせたコンテンツを作り配信していくことが肝要です。TikTokに限らず、今年はインバウンドプロモーションや中国向けプロモーションにおいてショートムービーの活用がポイントとなりそうです。

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