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KOCの台頭、KOLとの違いと中国マーケティングにおける役割とは

「KOL(Key Opinion Leader)にかわり、KOC(Key Opinion Consumer)が台頭」というニュースが中国で流れ、ネット上を騒がせました。このKOCとは何か、これまでの中国のネット事情も踏まえて解説します。

もともと「口コミ重視」の中国

もともと、中国ではテレビを中心とするマスの情報を鵜呑みにしないという環境がありました。その分、家族・友人・同僚などの口コミを信じる傾向は日本以上に強くなっていました。

SNSの普及に伴って自分たちの応援する著名人やフォローするインフルエンサー、つまりKOLの発言を重視するという土壌が育まれることになりました。

何十万人、何百万人のフォロワーを抱え、WeiboやWeChatで1回情報発信を行うだけで、数百万などという閲覧数を叩き出すKOLは、一躍中国ネットマーケティングの主役の地位まで上り詰めていくことになりました。

こうしたKOLたちは、情報の拡散やブランディングに優れているとされ、多くの企業が彼らに広告を依頼する状況が生まれました。

その一方で、露骨に広告色の強いコンテンツが流れたり、実際は体験したことのないものをお薦めしたりするという事態も発生しました。それにより、口コミの信頼性が損なわれてしまうKOLも出てきているのが現状です。

「万能なモーメンツ」から生まれたKOC

情報収集の手段でも、Weiboなどで広く浅く取得する方法に加え、WeChatでの友達同士のグループチャットやモーメンツ(タイムライン)で情報を獲得するという動きも増えていきました。モーメンツに質問を投げかけると、知り合いのうちの誰かしらが答えてくれることから、「モーメンツは万能」という言葉もネット上でよく聞かれるようになりました。

そこで登場したのが「KOC」という概念です。

彼らはKOLのように多数のフォロワーを抱えているわけでも、1回の配信で数十・数百万の閲覧を稼げるわけではありません。その代わり、自分たちが実際に体験した信頼性の高い情報を発信することで、影響力を有するようになってきています。

例えば、グルメに詳しい消費者がミネラルウォーターを100種類飲み比べしてみた体験や、肌荒れがひどかった主婦が使ってみて良かった敏感肌化粧水の情報など、リアルな口コミがSNSの拡散性によって、結果的に広く拡散されていくようになっています。

双方向のコミュニケーションに強み

実際の友人たちからのコメントも入るため、インタラクティブなやり取りに対しても積極的で、フォロワーからの距離感も近くなります。信頼性が高く、消費者の感情や行動を動かしやすいというのが特徴です。

KOLがインプレッションやブランディングに強いのに対し、KOCはコンバージョン、つまり実際の購買や来店などに繋げやすいというのが長所となっています。

KOCによるマーケティング事例

このKOCの口コミ力を活かした事例も中国側で多数生まれてきています。

スマホメーカーの「栄耀」社が9Xシリーズという新しい機種を発売した際には、KOCを中心に情報を拡散しました。ハイスペックなスマホゲームとタイアップしたキャンペーンを展開、ゲーム好きのユーザーたちが遊び、その情報をショートムービーとして拡散させたことで、スマホの機能性を訴求することに成功します。

400以上ある実店舗もこぞってSNSアカウントを開設し、自分たちが楽しんだ動画を配信していきました。

それぞれのトラフィックは大きくないものの、累計で1億以上の露出、そして数十万人がオンラインで購入するという結果に繋がりました。

B2Bでも効果を発揮

また別の事例でも、DJI社が農業用ドローンの機能や操作技術を紹介する生中継施策を行ったところ、専門性の高いB2B向けの内容であったにも関わらず、一部の熱烈なユーザーたちのトラフィックを集めることに成功しました。キャンペーン期間中に200件以上の購買申し込みを受けたということもありました。

「究極の個の時代」 が到来する中国

中国では、今後「究極の個の時代」が訪れると言われています。つまり、個人個人がそれぞれ専門性の高い情報を発信するようになると共に、自分用にカスタマイズされた情報を取捨選択して受け取るようになっていきます。

日中間のインバウンドや越境ECにおいても、その状況が顕著に表れるようになってきています。例えば、旅行先の地域に住む消費者が発信した現地の情報が重宝されるようになったり、個人のソーシャルバイヤーが広げた口コミによって国境を越えてネット上の「爆買い」が入るようになったりしています。

KOCが力をつけることによって、フォロワー数や閲覧数を伸ばし、結果としてKOL化するというケースも生まれています。

ただ、まだまだKOCだけで十分な情報拡散を担保できるというステージに来ているわけでもないのも現実です。今後は「トラフィックのKOL」と「コンバージョンのKOC」のベストミックスを追求することが肝要になると見られます。

関連記事:

http://x-c.co.jp/blog/20190624-release-sokuhou/
http://x-c.co.jp/blog/20190718-seminar-report/

参照記事:http://www.sohu.com/a/335896550_100080988

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