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WeChat(ウィーチャット)/微信(ウェイシン)基本機能まとめ~アカウント数10億のアプリが進む先~

WeChat/微信(Weixin)は、中国IT業界巨人のテンセント(中国語名:騰訊)が運営するメッセージングアプリです。アプリに備わった決済機能の利便性と普及について日本でも驚きをもってつたえられているところではありますが、WeChatはそのほかにもさまざまな機能を備えています。本編では2018年4月現在、WeChatに備わっている機能についてまとめます。

また今年3月にアカウント数が10億を超えたことも記憶に新しいところです。2017年秋にテンセントにより発表されたレポートの数字から最新の動向についても紹介します。

(画像はhttps://www.qqtn.com/qqkey/wechat/ より)

■WeChatとは生活のすべてを行えるアプリ

チャット機能、SNSとしてのWeChat

WeChatは日本のアプリストアでもダウンロード可能であり、この記事を読まれている方の中にも実際に利用している人がいるかもしれません。PC版も存在し、会話の相手とさまざまなファイルを送受信できます。もちろん音声通話、動画通話、複数人での会話が可能です。

アプリを立ち上げると左から順に「チャット」「連絡先」「発見」「本人」のメニューが並びます。この中の「発見」にある「モーメンツ」には連絡先を共有している友人の投稿する写真や文章、記事のシェアが流れていきます。コメントや「いいね」をつけることができます。

実際に中国で生活をしていると、「微信」(ウェイシン)がないと周囲とのコミュニケーション、ビジネスにおいても支障が出てしまう程、スマホユーザーにとっては当たり前のコミュニケーションインフラとなっています。電話でもないのにスマホに向かって話しかける中国人の姿も多く見られますが、音声を使って「微信」でチャットをしていることが多いのです。「Facebook」や「LINE」は中国では政府の規制で使用ができませんので、ダイレクトチャットからグループコミュニケーション、近況のシェアなども「微信」がもっともアクティブに使われています。

支払い機能(WeChat Pay)

昨年から日本でも注目されてきた支払い機能(スマホの電子決済)です。店頭のQRコードを読み込み、支払いを確定すると先方への送金が完了します。中国の銀行口座がある場合にはそこから入金できますが、ない場合は入金不可ということになります。ただし、相手から送金を受け取ることは可能です。

中国ではアリババ(阿里巴巴集団)のAlipay(アリペイ)と並ぶ二大電子決済として瞬く間に普及しました。特に後発のWeChat Payがわずか2-3年でAlipayと同等水準のシェアを獲得したことには驚嘆するとともに、「コミュニケーションから決済・送金までをひとつのプラットフォームで実現する」という構想とその利便性が中国人の生活を変えているということには目を見張るものがあります。

サードパーティツール、WeChat共栄圏

「本人」の「ウォレット」メニューにはいくつもの機能が並びます。上段の「テンセントメニュー」では、通話料金のチャージ、貯蓄の積立、募金、医療機関への受診予約、水道光熱費やインターネット利用費の支払いが可能になっています。

下段の「サードパーティメニュー」は、テンセント以外の事業者のメニューが並びます。昨年話題になったシェアサイクルのMobike、タクシー配車の滴滴出行、飲食店など施設の口コミ検索と予約ができる大衆点評、ECの京東商城やMogujie、フードデリバリーサービスの美団外売など、中国国内で主要なさまざまな領域のサービスがWeChatのアプリ内部に集結しています。他にもホテルの予約と公共交通機関のチケット購入(同程芸竜)、劇場・スポーツ観戦のチケット予約(猫眼電影)が存在し、日々アップデートされています。(カッコ内はサービス名称)

テンセントは、日々中国で勃興するITスタートアップに多額の出資や買収を通して、ベンチャーを育成し、そしてそのサービスを自らのプラットフォームと結合することでユーザーの利便性を高めています。今後の投資、サービスの拡大にも目が離せません。

微信小程序(WeChatミニプログラム)

WeChatが2017年1月にリリースしたミニプログラムは、WeChatアプリの内部で立ち上がるプログラムのことです。上述した以外のWebサービス(アプリ)も含めてWeChatの中で立ち上げることができます。この機能は「発見」の下位メニューとして存在しますが、一度利用したプログラムはチャットメニューの上部に出現します。そのため2度目以降はプログラムをすぐに立ち上げることができます。テンセントの2017年度の業績発表(暫定値)によれば、テンセントはWeChatをリリースして以来この分野の発展に注力しているそうです。また先に紹介したサードパーティツールのうちいくつかはミニプログラムの形式で提供されています。

これはとても革新的な構想で、ユーザーにとっては中国に多数存在する安価で低スペックなスマホ端末だとアプリを多数同時に立ち上げるとどうしても動作が重たくなってしまうという問題が解決し(もっとも利用するWeChatの中で、普段使う他のアプリのライト版を使用できるため)、アプリ側としては競争の激化するアプリマーケットで多額の広告投資によってダウンロード数を増やすだけでなく、WeChat内でより多くのユーザーを囲い込むことができ、テンセントにとっては「WeChat」をはじめとする自社のプラットフォームがiPhoneやAndroid等のOSの傘下にある(つまり他のアプリと同列である)状態から進化しWeChatそのものがOSの役割を担っていくことで、OSに支配されないプラットフォームに昇華できるというメリットがあります。こういった中国スマホ市場における「三方良し」によってWeChatミニプログラムの利用も急速に普及しています。

■2017微信データ報告の数字から見るユーザー動向

続いて2017微信データ報告から最新の数字をご紹介します。このレポートは2017年11月に発表されたテンセントによる2017年9月までの数字のまとめです。これによれば、微信/WeChatのデイリーアクティブユーザーは9億200万ユーザー(昨年比17%増)となっています。つい先日にもアカウント数が10億を超えたというニュースがあり、ユーザーは本レポート発表ののちにも増加していることがわかります。

ユーザー数だけでなくモーメンツ(WeChatのタイムライン)への投稿も増えており、ユーザーはSNS機能を積極的に利用しているようです。昨年同期比22%増、1日に6,800万件の投稿が行われています。

WeChat公式アカウント(微信公衆号)で情報収集

前段で見てきたように、WeChatは交流のためのツールとして利用されているだけでなく、さまざまなサービスを利用できるプラットフォームとしての機能を持っています。WeChatはさらに、それらに加えて媒体としての側面もあわせもっています。

WeChatには企業や政府により運営される公式アカウント(中国名:公衆号)が存在します。公式アカウントはユーザーのチャット画面にニュースやお買い得情報を配信します。ユーザーはWeChatを通じて友人の投稿だけでなく、これら公式アカウントからも情報収集を行っています。

テンセントの発表した「2017微信データ報告」によれば、2017年9月末までの時点で、WeChat公式アカウントの月間アクティブアカウント件数は前年同期比14%増加の350万アカウント、月間アクティブフォロワー数は19%増加の7億9700万となっており、媒体としての役割が増大していると言えそうです。

・WeChat公式アカウントについて詳しくはこちらの記事でも解説しています。
CrossC BLOG:WeChat公式アカウント(微信公衆号)登録と認証【準備中】

WeChat Payによるオフラインでの支払いシーンが拡大、人気ミニプログラムは5つのカテゴリに集中

第三者決済のWeChat Paytはユーザーの利用回数が増加していますが、特に注目すべきはオフラインでの支払い(月間)の増加です。昨年同期比280%増となっており、リアル店舗での消費場面にも溶け込んできていることが、この数字から読み取れます。

またテンセントが開発に注力しているというミニプログラムは現在20超の大カテゴリ、200以上の下位カテゴリが存在していますが、その中でも交通機関、EC、ツール、生活サービス、ITは月間の利用者数が多いサービスとなっています。

参考:https://www.ithome.com/html/it/333802.htm

■まとめ ~2018年はネット接続なしでの便利さが加わる?~

運営会社のテンセントは、WeChatを通じユーザーの生活が便利になることを目的にWeChatの機能を補完し続けています。ユーザー数は増大し続けており、確かにさまざまな価値を提供していることがうかがえます。2017年第三季の業績発表では、今後ネットの接続がなくても交通機関の支払いが可能となるようなサービスも提供すると述べています。オフラインでの支払い件数の増加を受けて、またミニプログラム開発への注力などを通じ、2018年もWeChatは新たな生活スタイルをかたどっていくことが予想されます。

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