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bilibiliで中国の動画配信に注力すべき理由~動画配信プラットフォーム概観から、消費意欲の高い「Z世代」の特徴まで~

流行りすたりのサイクルが早いと言われる中国。本編では2018年に注目の動画配信プラットフォームについて紹介します。

ライブ動画元年と言われた2017年、そして2018年現在Tik Tok(抖音)や快手といった15秒程度の動画を音楽と一緒にアップする「ショートムービー」が破竹の勢いで流行を作り上げていく中、インバウンドという観点から今おさえておきたいのが「bilibili」です。

▼Tik Tok(抖音)についてはこちらで詳しく解説しています。(クロスシー公式ブログ)

ショートムービー元年到来! Tik Tokの人気コンテンツから見えてくる「短視頻映え」のコツ

■中国の動画プラットフォームとは ~動画配信、ライブ動画、ショートムービー~

まずは中国の動画配信プラットフォームについて、カテゴリ別に主なプラットフォームとそこで視聴されているコンテンツを見てみましょう。

総合動画配信プラットフォーム

中国語で動画は「视频」と呼ばれます。中国他のさまざまなサービスと同じく、動画配信プラットフォームにも、中国のIT御三家「BAT」の運営によるサービスが存在します。

BATは百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントの頭文字です。2018年にナスダックに上場した「爱奇艺(iQIYI)」は2016年に百度に、「优酷土豆」は2015年アリババに買収されています。またテンセントは「腾讯视频」というサービスをもっています。この御三家のプラットフォームは広告収入がその大半を占める動画市場において、市場の7割を3社で占有している形です。

この御三家のプラットフォーム以外にも、中国のポータルサイトsohuによる「搜狐视频」や香港メディアの「凤凰视频」、「乐视」や地方テレビ局による「芒果テレビ」等が存在しています。これらの動画配信プラットフォームでは、「独自制作のドラマ」「版権購入により放映される海外の映像作品」「ニュース/報道」「娯楽番組」「音楽番組」「ライブ動画」など様々なコンテンツが配信されています。

ライブ動画(直播/ジーボー)

昨年その人気の広がりで市場を沸かせた「ライブ動画」(直播/ジーボー)にも多数のプラットフォームが存在しています。これらのプラットフォームはさらに、主力となるコンテンツによる下位分類が可能です。たとえば「娯楽」コンテンツがメインのサービス(花椒,映客,一直播,YYなど)、ゲーム中継がメインとなっているサービス(虎牙,斗鱼)、またライブコマースと呼ばれるインターネットショッピングと組み合わせた動画コンテンツも存在します。

参考:http://www.iimedia.cn/60511.html

研究機関iiMedia Research(艾媒咨询)のデータによれば、2017年のライブ動画サービスのユーザーは約4億です。その増加速度は緩やかになっているものの、2019年には5億を突破すると予測されています。

▼ライブ動画を使ったインバウンド施策について、寄稿記事で詳しく解説しています(外部サイト)

【事例紹介】中国人旅行客の心をつかんだ集客施策「ライブ中継」3時間の全貌とは!?今中国でアツい“生放送”をインバウンドでも活用 放送1時間後には視聴者の来客が!

ショートムービー

2018年の頭より注目の的となっているのがショートムービーです。投稿者のニーズを満たせるようなSNSの機能を重視したもの(Tik Tok/抖音や快手、秒拍や美拍など)、泣けるコンテンツなど視聴者の満足を追求するもの(梨视频など)、そしてそれらの公開場所としてWeiboや今日头条というプラットフォームが存在しています。

参考:http://www.iimedia.cn/56105.html

■bilibiliとは何か? ~「二次元」愛するユーザーの集うプラットフォーム~

ここまで見てきた動画配信プラットフォームとは一線を画すのがbilibiliです。今年の3月にナスダック上場を果たしたため、そのタイミングでサービス名称を耳にした人も多いのではないでしょうか。このプラットフォームの特徴はなんといっても「アニメやゲーム(AGC、中国語で「二次元」)を愛する若者層を満足させる場となっている」点にあります。

bilibiliのトップページ(ブラウザ)

bilibiliは日本の「ニコニコ動画」と同様、アップしたコンテンツに視聴者がコメントを流すことのできる機能(弾幕)を備えています。トップページからはカテゴリ別に収録本数が確認できます。以下のキャプチャのように、「アニメ(动画)」「音楽」「ゲーム」「科学技術」「生活」「娯楽」「映画」が特に多くなっています。(2018年6月現在)

実際にアップされているコンテンツを確認してみると、ゲームのシーンをつなぎ合わせ投稿者の感想や見解を字幕形式で述懐するもの、ポケモンについて踏み込んだ知識を解説したものなど、オリジナルのオタクコンテンツが多く目につきます。視聴者が書き込んだ弾幕が画面を横切りますが、そのコメントには共感と興奮、仲間意識がにじみ出ています。

先に見てきた「総合動画配信プラットフォーム」にもアニメ作品がアップされていますが、「オリジナル作品」の多さがbilibiliというプラットフォームを差別化し独自性を高めている要因といえるでしょう。

■なぜ重視すべきか? ユーザー構成比から見えてくる「Z世代」、消費力意欲の高い潜在的日本ファン

上に見てきたような独自性から、bilibiliのユーザーの年代別構成比にはZ世代が多いという特徴があります。株式上場の際に用いられた資料では2018年1-2月の月間アクティブユーザー数7600万人のうち、82%が「Z世代」を含む1990年-2009年生まれであることが強調されました。

中国の調査機関、极光大数据のレポートによればbilibiliアプリの30歳以下のユーザーで全体の92.8%を占め、男女比は56.1:43.9です。

Z世代とは?

さてここで「Z世代」の特徴についてさらに詳しく見ていきます。Z世代はインターネット世代とも呼ばれ、一般的に90年半ば生まれ以降の世代を指す概念です。アリババグループの研究機関のレポートによると、Z世代はオンラインでの消費が非常に活発で、アニメ・漫画やゲームに関連したコンテンツの消費においても他の世代に比べて積極的です。

また現在ECユーザーの1/4がZ世代であり、彼らのうちの63.9%は毎日ECを利用しているとのデータもあります。Z世代は、日本が得意とする「二次元」と呼ばれるアニメやゲームを主題とするコンテンツに関心の高い、消費力のある世代と言えます。

このZ世代が集うbilibiliにはすなわち、インバウンド需要の顕在的ターゲットだけでなく、潜在的ターゲットが存在すると考えられます。今後、WeiboやWeChatと合わせてインバウンドプロモーションの重要なチャネルとなるはずです。

参考:阿里研究院副院长杨健发布《进击,Z世代》报告

■自社媒体「纳尼Video」(nani VIDEO) Z世代の審美眼に耐えうる、丁寧に作られたPUGCで情報発信

実際のところ、Weiboや快手、抖音といったプラットフォームにも若者は集っています。そんな中、bilibiliがそれらと異なる独自の地位を確立している理由として、bilibiliにアップされるコンテンツはPUGC(Professional User Generated ContentあるいはPUGV(Professional User Generated Video)と呼ばれるものであることが挙げられます。

PUGC(PUGV)とは?

PUGC(PUGV)は、PGCとUGCの双方の優位的な特徴を兼ね備えたコンテンツです。PGCはProfessionally Generated Contents、UGCはUser Generated Contentsを意味します。

PGCはインターネット上のSNSのようなプラットフォームのユーザーであり、なおかつ専門知識を有したアカウントが投稿する、ある一定の水準を備えた映像等のコンテンツであり、KOLの投稿はその一例です。一方、UGCは専門知識を有さない一般ユーザーが投稿するオリジナルコンテンツを意味します。

PUGCは完成度の高さや構成で大衆の目を引くコンテンツありながら(Professionaly)、その投稿者のキャラクターは一般人程度の特徴に抑えられており(User)、結果として視聴者から親近感が抱かれやすいという特徴があり、さらには多数の信頼や注目を集めることができます。

Z世代やbilibiliユーザーが好むアニメやゲームといったカテゴリでは、本家本元の作品を用いながら映像作品を作ることでその熱量を表現します。同時に、作品やキャラクターに対するファンの尊敬の念やこだわりが強いため、その完成度に対し厳しい審美眼が向けられがちです。こういった文化を持つbilibiliで何万PVを記録できるのは、ファンの求める高い要求にこたえられるコンテンツ(PUGC)なのです。

自社媒体「纳尼Video」

視聴者の厳しい審査の目を備えるプラットフォームであるbilibiliにおいて、日本の情報を自らの足で情報収集し発信しユーザーの支持を得ているチャンネルの一つに、当社の運営する「纳尼Video(nani VIDEO)」があります。

nani VIDEOの現在のフォロワー数は8.2万(月1.5万増)、合計再生数は643万に上ります。(2018年6月現在)

コンテンツの一例をご紹介しましょう。nani VIDEOでは主に日本の街頭インタビューを配信しています。テーマは中国人が知りたい、なおかつここでしか聞けないリアルな日本の情報です。映像のクオリティはもちろんのこと、何人ものインタビュアーの本音が引き出され、新たな気づきを得ることのできる内容になっています。

音楽も、画面の中の世界に引き込むような雰囲気のものを合わせており、視聴者が思わず見入っている様子が想像できます。もちろん画面には字幕付きですが、こちらも20歳前後の女性に受けの良さそうなフォントを選ぶなど、細かく気が配られています。

▲冬にスカートをはいて寒くないの?というテーマでインタビュー。かなりの数の「弾幕」が流れている。BGMも「二次元」ファンには耳なじみのものを選んでおり、話題になっている。

「纳尼Video(nani VIDEO)」の各コンテンツは数万~数十万PVを記録しており、日本についての一次情報を発信するチャネルとしてその地位を確固たるものにしています。2018年現在はオリジナルコンテンツのみならず、プロデュースコンテンツやコラボコンテンツとその活動の枠を広げています。当チャンネルを活用したプロモーションのご相談も受け付けておりますので、どうぞお問い合わせよりご連絡ください。

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