WeChat/Weixin広告が注目される理由 ~中国最大のモバイルプラットフォーム攻略のための基礎知識~
中国人とのコミュニケーションに欠かせないWeChat。クロスシー公式ブログでは、その最新動向(2018年4月)や基本構造についてご紹介しています。
▼WeChatの基礎情報はこちらの記事から参照いただけます(クロスシー公式ブログ)
WeChat(ウィーチャット)/微信(ウェイシン)基本機能まとめ~アカウント数10億のアプリが進む先~
WeChat/Weixin微信は中国の必携アプリ、基本構造&実際の利用シーン&登録方法を解説!
【WeChat】公式アカウントとは? 日本企業が開設する方法とは?
上記エントリーではWeChatの影響力拡大を示唆するさまざまな機能や数字を紹介しています。こういった影響力の拡大を背景に、今やWeChatは中国におけるプロモーションプラットフォームともなっています。
▲WeChat広告の事例(テンセントソーシャルアド公式サイトより)
本編ではWeChatにおける広告に焦点を当て、以下の3点について解説します。
- WeChatでのプロモーションが中国人向けのマーケティング活動に有効(というよりももはや必須)である理由
- WeChat広告の強みと種類
- WeChat広告の出稿方法
■WeChatでの広告出稿が有効なのは、膨大な数のユーザーの行動履歴データベースがあるから
WeChatを運営するテンセント(中国名:腾讯)の2018年第一季決算発表によると、WeChatのアカウント数は昨年同期比10.9%増の10.40億アカウントに達し、SNSに限った広告収入は昨年同期比69%増の73.90億元となりました。(テンセントはWeChatのほかQQというSNSプラットフォームも運営)
また、WeChat上の広告に関して、一日1回のみ可能としていた「タイムラインへの広告出稿」の回数を2回に緩和する改変を行っており、WeChatにおける広告の重要性が増していることがうかがえます。
WeChatの最大の強みはその巨大なデータベースです。
10億超という数字は、当然中国で最も大きなアカウント数であり、テンセントは世界で最も多く中国人の行動履歴を有していることになります。誰がどんなコンテンツに関心を抱いているのか、どのタイミングで見ているのかといったデータに加え、WeChatには決済機能WeChat Paymentが備わっているため、消費金額や回数といった購買履歴も含まれます。WeChatではこのデータベースを利用し、精緻なターゲティングと投資効率の高い広告配信を可能としています。
日本で利用されている各種SNS(facebook、Twitter、Instagram)でも、タイムラインに広告を見つけない日はありません。これらのSNSが利用できない環境にある中国人は、日々WeChatをはじめとした中国のインターネットサービスを利用しています。
しかし、プラットフォームは違えども、ユーザーの関心に合わせてカスタマイズされた広告が流れているという点は海外発のSNSもWeChatも変わりません。私たちがfacebookやTwitter、あるいはInstagramで情報収集や情報発信、友人へのコンタクトをとる際に目にする広告のような絶妙な存在感で、WeChatの広告は中国人ユーザーの世界に自然と組み込まれているのです。
さまざまな機能を有するWeChatは職場でもプライベートでも一日に何度も立ち上げる機会があります。広告に触れる機会もその分多くなると考えられます。
参考:
http://tech.qq.com/a/20180516/030778.htm
実際にどんな情報に基づきカスタマイズを行う? ターゲティングの指標とは
自社がWeChat広告を出稿する際にターゲットとして設定するペルソナですが、中国市場を分類する独特な指標もあります。それが天気です。
居住する地域やユーザーが訪れるスポット、年齢や性別、生活シーンといった基本情報、学歴や趣味関心、ライフステージや社会的身分のほかに、WeChat広告の出稿にあたっては、天候に関する詳細な分類が存在するのです。
中国は国土が広いだけでなく、第一の行政区分である「省・自治区・直轄市」という区分けでは、同一のカテゴリにおいても気候にばらつきが生じます。そこで、より精緻なターゲティングを可能にするため、着衣指数、紫外線指数、化粧指数、気温といった下位分類が設定されているのです。
■日本法人でも出稿可能なWeChat広告の強み、多様な種類と期待効果
日本法人のWeChatへの広告出稿は、2016年より、テンセントの日本支店であるテンセントジャパンと代理店契約をしている企業を通じて可能となりました。このころ日本法人名義でのWeChat公式アカウントの開設も部分的に解禁されています。
▼現在はWeChat公式アカウントの開設は直接申請が可能となりました!詳しくは以下エントリにてご確認ください。お問い合せも受け付けております(クロスシー公式ブログ)
日本法人のWeChat公式アカウント開設・認証における直接手続き解禁を受け、優待価格で運用支援サービスを提供 ~日本企業に手数料なしの道ひらける~
WeChat広告の最大の強みは運用のPDCAサイクルの質の高さです。
テンセントの広告システム(TENCENT AD NETWORK)により、最適な配信方法をシュミレーションし、配信を行っています。システムは効果の高いパターンを学習し、それに沿って配信先(ターゲットユーザー)を調整します。またこのシステムでは多数の評価基準を用いてユーザーのトラフィックの検証も行っており、無効なインプレッションには課金されない仕組みです。
こういったターゲティングの精度の高さに加えて、豊富なバリエーションがWeChat広告の効果を最大化しています。広告のバリエーションは大きく分けて以下の3つです。
- バナー広告
- モーメンツ広告
- KOL&ブランドミューチュリアル広告
それぞれの形態における出稿可能な広告の詳細を、以下順に見ていきましょう。
バナー広告
バナー広告は、ユーザーがフォローしている公式アカウントの記事の中に配信されます。バナーは外部広告へのリンク、出稿企業の公式アカウントのフォローを促すもの、アプリのダウンロード、クーポンなどの掲載が可能です。
モーメンツ広告
モーメンツ(朋友圏)とはWeChat内のSNS機能で、自分の近況や気に入った記事のシェアをタイムラインに投稿し、それが友人にも表示される機能です。自分のタイムラインには友人の投稿が表示されることになります。モーメンツ広告とは、こうした自分や友人の投稿と同列にタイムラインにコンテンツが表示される広告形態(フィード広告)です。
モーメンツ広告では「動画ページへの誘導」「事前登録」「事前予約」「公式アカウント記事へのリンク」「ローカルプロモーション」(地域でセグメントしたターゲット層へクーポンを配布)といった広告の出稿が可能です。
KOL&ブランドミューチュアル広告
KOLを含む大型公式アカウントの運営者と直接連携し、記事広告を発行する形式の広告です。記事の最後にスポンサーとしてバナーが表示されます。
※画像はテンセントジャパン資料より
上述したように精緻なターゲティングを行い、なおかつターゲット層が親しみやあこがれを抱いているKOL(インフルエンサー)からの情報発信となるため、高いエンゲージメント成果が期待できます。CTR8%、スポンサーに対するコメントの割合50%超という事例も存在します。
■WeChat広告を出稿するまでの手順とまとめ
WeChat広告は、WeChatの公式アカウントを用いて、管理画面から出稿できるようになっています。
※画像はテンセントジャパン資料より
見てきたような多様な形態の広告出稿や効果の高いアドネットワークの利用には、まず公式アカウントの開設が必要です。公式アカウント開設後は、代理店を経由しての広告アカウントの取得、広告の作成と審査、KPIのシュミレーションに進みます。
中国人に向けたマーケティング活動においてWeChat広告が重要であることは、ユーザー数の大きさからも、テンセントの決算資料からも明らかです。
日本法人がWeChat広告を出稿できるようになってからはまだ2年ほどですが、クロスシーは昨年2017年度には日本でも最大規模のWeChat広告の取扱い実績があります。弊社はこれまでの知見に基づき、引き続き日本法人による中国人へのマーケティング活動にさらなる貢献を果たして行きます。中国人向けプロモーションを検討される際には、ぜひ「お問い合わせ」より弊社担当までご連絡ください。