90後・95後・美容がキーワード、中国越境ECは前年度50%増で1兆円超え市場に 最新レポートから見る中国消費の「イマ」とは 訪日ラボの弊社連載第26回
インバウンドニュースサイト「訪日ラボ」でのクロスシー連載第26回目が公開されました。
今回は中国の「第一財経商業データセンター(CBNData)」と「天猫国際(Tmall Global)」が共同で作成した『2018年越境EC消費新状態(90後-95後)』のレポートから「美容」に関する結果を紹介しました。
越境ECの取引額は、2017年の10月までの10か月間では 437億元(7,211億円) 、その後2018年の10月までの10か月間では672億元(1兆1,088億円) となっており、前年同期比で約53.7%増加しています。 ※1円=16.5円で計算。
また各越境ECプラットフォームの 2018年第3四半期のマーケットシェアは、天猫国際/Tmall(30.2%)、網易考拉(23.2%)、海囤全球(12.3%)、唯品国際/VIP(9.6%)、Amazon海外購(6.0%)などです。
▲2018年第三四半期における越境ECシェア
「海囤全球」 はアリババと同じくEC運営大手である京東(JD.com)の海外商品専用サイトである「京東全球購」が、2018年9月に改称したものですが、越境EC市場ではアリババそしてネットイース(網易)の2強という構図であることがわかります。
天猫国際の消費者数の年代別構成比を見てみると、もっとも多いのが95後、続いて90後です。 消費金額もこれらの年代で高く、1970年代生まれまでの各5年刻みの層を見ると、年代が上がるにつれて低くなっています。(どちらもデータ分析対象期間は2017年12月~2018年11月)
90後と95後は現在20代です。 彼らの消費額が全体に占める割合は2016年~2018年にかけて年を追うごとに拡大し、2017年12月から2018年の11月の1年間では90後と95後は合わせて全体の約4割を占めています。つまり、天猫国際では大学生が消費の主体になりつつあるということです。レポートでは同年代で年々消費シェアが上昇する理由として、以下の二点を強調しています。
- 彼らが新しい商品に心惹かれやすいこと
- 日常生活においてより多種多様なニーズを抱いていること
大学生の購入商品別消費金額を確認してみると、「美容・メイク関連商品」がトップで群を抜いており、特にフェイスパックが人気です。 美容関連に続くカテゴリ別第2位はアパレル・ファッション用品、第3位は医薬品、第4位はシャンプーなどヘアケア・ボディケア商品、第5位がデジタル家電という調査結果になっています。
また、フェイスパックの他「フェイスケアセット」「フェイスエッセンス」「日焼け止め」「洗顔料」「化粧水」「リップクリーム、口紅」「乳液・クリーム」「化粧落とし」「香水」などが人気商品となっています。「フェイスエッセンス」は高濃度の美容液を意味し、日常的な保湿目的というよりは、アンチエイジングの効能を主眼に置いて購入されている様子があります。新人社員として働き始めたり、残業が日常となっていたりする20代にとって、ダメージを抱え込む肌のケアが重要事項となっている日常がうかがえます。
このほか本編では、人気の美容器具、購買元の国別人気商品の傾向を紹介しました。 レポートにはこのほか、食品・アパレル商品・キャラクターグッズ・寝具や暖房器具などの生活用品・ペット用品についても詳細な分析が行われています。
20代の消費行動においてはニーズが多様化しており、越境ECはそれに応え売上を伸ばし続けています。 紹介したレポートの予測によれば、2020年の越境ECユーザーは2億人を超すそうです。インバウンド旅行者の体験型(コト)の消費への転向が報じられていますが、中国人消費者の「手に取れる商品(モノ)に対する購入意欲」も上昇を続けているといえるでしょう。
レポート内で言及されているアイテムが身近にあるのが20代の一つのライフスタイルです。本編で紹介した情報は、インバウンドにおける販売促進や越境ECにおける商品展開、またそのプロモーションのプラン設計の際の参考になるでしょう。
連載第26回はこちらからご覧いただけます。本文もぜひご一読ください。
【中国越境EC】前年度50%増で1兆円超え市場に/今後の中国ECキーワードは「90後・95後・美容」 | 最新レポートから見る中国消費の「イマ」とは
第27回目の訪日ラボ連載は、2月12日(火)公開予定です。どうぞご期待ください。