ユニクロがTmall独身の日で売上No.1アパレルブランドになった3つの理由
今年も過去最高の取引額を記録した天猫シングルデーセール。数あるアパレルブランドの中で1位となったのは、今年もユニクロでした。
本記事の内容
・独身の日No.1ブランドに
・ユニクロ爆買いの3つの要因
・ブランド価値を高めるコラボ戦略
■3分で1億元を販売
11月11日に日付が変わった瞬間からスタートしたTmallシングルデーセール。そのわずか2分53秒後には、ユニクロ天猫旗艦店の売上が1億元(約16億円)を突破。天猫全店舗の中で最も速く1億元を突破した店舗となりました。そして、10時間後には天猫旗艦店の中にあった1879種類の商品全てが売り切れる事態となりました。こうして最終的にはTmall全体でも6位となるのです。
■爆買いを呼び込んだ3つの要因
①中国の方言ラップが地方出身者のハートをキャッチ
国土が広く、他民族国家の中国では、地方によって言葉が大きくことなります。例えば、北京の人が、広州で話されている広東語を聞いても一言も聞き取れないほど大きく違っています。そして、都市部に働きに来ているホワイトカラー層にとっても郷里への愛着は強いものがあります。
そこでユニクロは、ウルトラライトダウンのPRで動画を撮影。ラップの歌が入っていますが、それぞれ広東、山東、上海など6つの地域の言葉で、字幕を付けて歌っています。再生回数が300万回、コメント数も1万件を越える等、大きな話題となりました。これをYoukuや愛奇芸といった動画サイトでも展開。Weiboでも毎日10着のウルトラライトダウンが当たるキャンペーンも実施。シングルデーに先駆けて、ネットの世界を盛り上げ、この勢いそのままにセールに突入したのです。
②徹底した割引プロモーション
シングルデーでも、ブランドによってはあまり思い切った割引額を設定しなかったり、割引適用アイテムを限定したりすることもよく見受けられます。この点、ユニクロは最新のシーズンアイテムや、芸能人とのコラボアイテムにも割引を適用。11月頭からWeibo等で、割引額を少しずつ告知し、直接的に価格を表示するものに加え、価格の最初の1桁だけを見せる形式も使うことで消費者の期待感も煽りました。
更には天猫店舗のみならず、オフラインの実店舗でも同等の割引額を適応。この潔いとも言える割引が、消費者に好感を与えることになりました。
③進化版O2O連動!
シングルデーでは消費者が殺到するため、まず購入すること自体が容易ではありません。また購入できたとしても物流がパンクするために、商品が手元に届くまでにかなりの時間を要します。そこで、ユニクロは今年の新たな取り組みとして、「ネットで購入、店舗で受け取り」という形式をスタート。24時間以内にすぐに店舗で受け取れるということで、消費者のストレスも軽減、同時にデリバリーにかかる負担も削減することに成功しました。更に、11/11~11/17の間、中国全土400の実店舗で、シングルデー割引を実施。商品を受け取りに来た消費者が更に「ついで買い」をしていくという好循環も生まれました。
■ユニクロのコラボ戦略
中国には価格の低いアパレルブランドが多数乱立しています。そのための差別化戦略の一つとして行われているのが、様々なパートナーとのコラボレーションです。
3月にはニューヨークの現代アートのデザイナーと組み、春夏用のUTシリーズをリリース。8月には有名俳優・女優を起用して、限定版商品を発売。9月にはディズニーとのコラボアイテムを、10月にはフランスのブランド「ルメール」のコラボをアイテムを発売し、オンライン・オフライン共に大ヒット商品となっています。11月にはVOGUEフランスの元編集長とのコラボアイテムも発売。話題作りを行いながら、ブランド価値を高め、消費者のニーズを刺激し続けています。
こうした長期に渡るマーケティング施策の積み重ねが、今年もシングルデーの売上No.1アパレルブランドの座を確たるものにしているのです。