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中国越境EC、市場規模と主要なプラットフォームまとめ【2018年夏】~今、日本企業が中国越境ECに進出すべき理由~

インターネットの普及が進む中国。CNNIC(中国インターネット情報センター(中国互联网络信息中心、China Internet Network Information Center)の8月の最新統計では、2018年6月までにネットユーザーが8億を突破したことが発表されています。

▼2018年3月に発表されたCNNICのレポート解説はこちら(クロスシー公式ブログ)
中国インターネット利用状況、2017年の統計結果! スマートテレビの普及と広がる「SNSの生態圏」、目的に合わせたプラットフォーム選定と動画で市場を制する

同統計発表によれば、2018年6月末現在、ECユーザーは5.69億人で、2017年末と比べ6.7%成長。ネットユーザー全体の71%であり、モバイルでのECユーザーは5.57億人(10.2%増加)、全体の70.7%を占めています。

本編では中国市場への足掛かりとなる越境ECについて、市場概要と最新の動向をまとめます。

■越境EC主なECプラットフォームまとめ、2019年には日本からの物販は2兆円を超える!

1980年代から、現在のソーシャルバイヤーのように、海外に居住あるいは旅行する中国人が現地で商品を仕入れ、中国国内の顧客に販売するという手法が存在していました。その後2000年代にはSNSの登場、普及を受け、こういった個人間での商品取引の規模は拡大し、中には事業化する人も現れます。

2010年~13年までが初期の発展期とされています。ソーシャルバイヤーによるCtoCの形式が主流となり、「洋码头」や「小红书」といったサービスが人気となります。

2014年から15年の初めは、中国政府の政策により越境EC市場が潤った時期となりました。アリババにより「天猫国際」が正式にローンチされ、その他Amazon、ネットイース社といった巨大なプレイヤーが市場に参入します。

2015年にはさらに市場への参入が増え、競争が加速し一部の越境ECサービスが淘汰されていきます。2016年も同様の傾向が続き、市場の発展は加速していきます。

▲主な越境ECサービスのサービス開始時期

こうした中、日本からの中国向け越境EC市場は成長を続けています。マーケット調査会社富士経済によれば、その取引額は2016年の1兆158億円から2019年には倍の2兆1,044億円に達します。

▲日本からの中国向け越境EC市場(物販)

中国EC市場の主要プラットフォームと最新の販売トレンドは?

中国ではもともと、海外からの商品を輸入する越境ECだけでなく、国内から国内へ商品を発送する「ネット通販」が人気でした。越境商品に限らない「EC市場全体」についても簡単にご紹介します。

2014年にニューヨーク証券取引所に上場したアリババは、今や中国ビジネスに関わる人間なら知らない人はいない中国の主要IT企業「BATのAにあたる企業です。中国最大のオンラインショッピングサイトの「タオバオ」、そして企業が個人むけ販売を行う「天猫」というECサイトを展開しています。余談ですがBtoB特化の「1688」というサービスも存在します。

このタオバオに追い付く勢いでさまざまなサービスを展開しているのが、ドローンを使った配送が有名な「京東(JD.com)」です。ECサイトでは年間を通じさまざまなセールが開催されていますが、6月18日と11月11日(独身の日)が特に大きな行事となっています。京東の創業祭にあたる「618」のセールでは、もはやセール時の恒例ではありますが、過去最高となったことが発表されています。

2社のほかにも、「苏宁易购」「唯品会」「国美」「Amazon.cn」「1号店」「当当」「聚美优品」といった、それぞれに取扱商品や、商品PRの方法に差別化を図ったECサービスが存在します。(CtoC方式のもの、ショッピングの過程から情報を共有し商品の訴求を図るもの、等)

▲中国における主なECサービス(一部)

中国IT業界の「BAT」の一角をなすテンセントは、自社オリジナルのECサービスは持ちません。現在、EC業界2位と言われる京東(JD.comとの連携を深めており、チャットアプリのWeChat内に京東のサイトへ直接アクセスできるメニューを設置したり、アプリ内の検索結果に商品が現れるようなサービスを開始したりしています。

EC全体では、生鮮食品、中古品に特化したサービスが市場を伸ばしつつあります。またアリババ、JDの両社とも、昨年より実店舗とのデータの連携を図る「新小売り」の業態を取り入れ始めています。ライブコマースと呼ばれるライブ配信とEC販売を掛け合わせた手法も着実に広まりつつあります。

■最近注目の越境ECプラットフォームは? 出店先はどう選ぶべきか

2014年頃から市場環境が整えられてきた越境EC市場では、アリババのECサービスであり海外商品に特化した「天猫国際」、京東(JD.com)による「京東全球購」は巨大な越境ECプラットフォームとなっています。

また、日本商品に特化したサービスのinagora(豌豆公主)、bolomeも存在感をはなっています。今年7月に発表されたあるランキングでも、1位「小红书」2位「网易考拉」3位「洋码头」という結果の中、inagoraは7位にランクインしました。

先日、越境ECアプリに関して、シンクタンク「極光ビッグデータ」が市場浸透度を発表しました。市場浸透度の高い順に、1位「小红书」2位「网易考拉」3位「洋码头」となっています。2018年3月との比較では上位2社は20%以上増加している一方で、3位の「洋码头」の浸透度は低下していることがわかります。

▲越境ECアプリの浸透率と2018年3月からの増加率

「BAT」と呼ばれるトップ企業による天猫国際や京東全球購に商品を置けば、同サービスの有するユーザーは多いのだから大きな苦労なく商品が売れるようになるのではないか、という仮説を立てられる方もいるかもしれません。しかし実際は、こういった巨大市場で販売に成功している日本出身の商品は、一部の化粧品や食品に限られています。

出店先、出品先の選定においては、やみくもにその市場の巨大さだけで選ぶのではなく、自社の商品と最も相性の良いECサービスを見つけ出すことが重要になってきます。ユーザー属性、UI、得意とする商品といったさまざまな観点から各越境ECサービスをとらえることが必要です。

中国におけるウェブサイトの構築は難易度が高く、またネットユーザーの習慣と照らし合わせてもレアなケースではありますが、自社サイトの構築によりEC展開に成功した事例もあります。

■まとめ ~海外需要の取り込みは喫緊の課題、テストマーケティングの舞台としての越境EC~

現在、日本の国内消費は、インバウンド消費により右肩あがりではあります。ただし、そこで取り込めている需要は、海外の消費需要のほんの一部分でしかありません。

海外売上比率を高めたいメーカーや小売にとって、現地進出は喫緊の課題です。見方を変えれば、越境ECは大規模な投資が必要となる現地での販売の前に、テストマーケティングを行う場として利用できると言えます。

海外売上比率の拡大という目標を前に、「越境EC進出」という選択肢は最初から取るべき道としてとらえられるべきでしょう。桁違いに売れる可能性のある現地販売に着手するのか、規模は小さく越境ECから始めるのか、日本企業がそれを判断すべき時はまさに今なのではないでしょうか。

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