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ショートムービー時代到来、Weibo、WeChat、REDからの変遷(1) 賀詞社長連載

「速報醤」賀詞社長のnote連載、今回のテーマは「Weibo、Wechat、RED?いやいや、ショートムービーでしょう」。

ショートムービー20200113

概要背景

中国経済の発展は日本のニュースにもある通り、中国はユニークなポジショニングを取り、中国国内市場を抑えたプラットフォームを中心に例を見ない発展を納めている。先進国との差も徐々に追いつき追い越し、「衣食住足りて礼節知る」とはよく言ったもので、日本の方々は実感が無いかもしれないが、実は経済発展に伴い中国国内ではマナーも非常に良くなってきている。ここに来てようやく中国国内でもようやく名実ともに先進国の仲間入りしてきた、という声もちらほら出はじめたのも理解できる。

GDPの推移
図1)中国GDPの推移

この、誰から見ても明らかな経済発展を遂げた直近10年間で、最も変化が大きく中国経済領域の成長に寄与した分野はIT分野である。今回はこの中国IT分野の成長について考察する。

大雑把だが、以下のようにITだけではなく中国経済全体の発展を3つの時代に分けて捉えてみよう。まずはじめに、いわゆる改革開放時代(1978~1990年代まで)の中国を世界の工場と見立てた「メイドインチャイナ」時代である。そして1990年代から始まったのが、世界的には悪名高き?「コピーインチャイナ」時代、つまり物であれ知的財産権であれ、何でもかんでも絶妙にクオリティの低いコピー商品やコピーサービスを秒速で立ち上げる時代が到来する。この「メイドインチャイナ」時代と「コピーインチャイナ」時代のイメージこそが、世間一般の方々が持つ中国商品・サービスへの原風景だろう。後述するが、実はこの時代に中国ITが立ち上がり、「コピーインチャイナ」時代に基盤を整えた上で次の時代で飛躍しているのである。(図2)

域内総生産_202001
図2)GDP推移

そして2010年代からはじまる現在は「モデルインチャイナ(中国モデル)」時代と呼ばれている。

これは中国独特の優位なポジションを活用した、新たなハイクオリティ中国国産ブランド商品や中国発グローバルサービスが生まれている時代である。この時代は、「メイドインチャイナ」だがいわゆる世界の工場ではなく、ITを駆使したコストパフォーマンスの良い商品サービスで世界を狙っている。同様に「コピーインチャイナ」ではなく中国の大手企業はハイクオリティな商品サービスを世界に向けて発信している。要は、これまでの時代で培ってきた強大な国内市場を背景に、世界一の人口をテコにした生産能力でコストパフォーマンスを追求した商品サービス提供と、国内プラットフォーマーの巨額な研究開発によるハイクオリティな商品サービス提供とを両立させているのである。「モデルインチャイナ」時代とは、こういった現象がすべてのIT領域において同時並行で立ち上がる時代である。むしろ日本向け市場展開が遅い部類なので違和感があるかもしれないが、日本で流通している低価格ガジェットやハイスペックスマホ、サービスで言えばTik Tokやスマホゲームアプリだけでもなく、全領域・全世界に向けてコスパとハイクオリティ、新しいサービスすべてを提供している、という感覚を持つのが正確な状況把握である。(図3)

図3)産業別成長比較

日本企業が失ったモメンタム

日本企業は中国の「メイドインチャイナ」時代をうまく活用し、「メイドインジャパン」から始まる日本企業の経済地位をより強固なものにした。この観点でいえば、先述の中国経済3つの成長ステップの最初の成長段階において、上手に利益を享受していた。

ただ中国経済発展の急速な流れ、つまり世界の工場としての経済発展から、低品質だとしてもとにかく中国国内需要を満たし経済発展を促す「コピーインチャイナ」時代において、日本企業はその波に乗ることができなかった。この波に乗ったのは韓国である。韓国は「コピーインチャイナ」から「モデルインチャイナ」へ移り変わるタイミングにおいて、うまく波に乗り中国国内市場で大成功を納めている。(図4)

輸出入比較
図4)対中国向け韓国輸出量

中国における韓国商品サービス成功例で最も典型的なのは、エンターテイメント領域においてである。

日本では知られていないが中国国内において2000年代から2010年前半までの芸能エンタメをトリガーにコスメ・ファッション・ライフスタイル領域におけるトレンドは、ほぼ韓国発といって過言ではない。一方日本はこの領域において大雑把に言えば、「コピーされるリスク」の前でマーケットインに躊躇し、中国人にとって日本のトレンドは1990年代に一世を風靡した「日本のトレンディドラマ」のままだ。むしろ古くさく、中国の若者に全く刺さっていなかったのである。

この「コピーインチャイナ」から「モデルインチャイナ」に変わる過渡期の中国国内市場において日本企業が韓国企業に奪われたモメンタムは、記事が数回バズった程度でクリアできる代物であるはずがないのである。

2010年代中国ネットにおけるメディア概論

改めて言うが、「コピーインチャイナ」から「モデルインチャイナ」への変革を構成する直近10年間で、中国ITは数々の奇跡的な成功を収め、ようやく世界の注目を得ることとなった。

インターネット発展3段階
図5)中国プラットフォーマー時系列発展段階図

中国ITの成長をキーワードで線引きをするとしたら、2008年以前は1.0時代(PCとEC)であり、2009~2019年は2.0時代(モバイルとSNS)とし、2020年以降は3.0時代(IOTとAI)であろう。以下、簡単に本稿のターゲットである2.0時代における代表的なサービスを紹介する。

中国SNSの発展
図6)中国SNS変遷
  • Weibo
    2009年に誕生し、2014年にてナスダックに上場。 当時は、ITオタク達によって作られて小さなコミュニティサービスであったが、twitter、facebook,youtubeやinstagramなどの良いところ取りをして、中国人の国民性に適合したSNSを最速で作り出したのが成功要因である。中国において未だメジャーなソーシャルメディアであり、メディアとしてユーザーに情報提供するのが最大の役割である。
  • WeChat
    テンセントがそれまで持っていたQQというサービス(シンプルなインターネットメッセンジャー機能)とは別に、2011年にテンセントの内部闘争から新しいメッセンジャーサービスとして生まれた。 その後WeChatはQQとうまく補完関係を取りつつ、現在では中国最大のサービスプラットフォームであり、テンセントの経営危機を幾度も救うサービスとなる(もしWeChatを開発したのがテンセントでなかったら、テンセントは終わっていたかもしれない)。今日では、WeChatは言うまでもなく国民的なAPPであり、これを使わない中国人はいない。携帯に、他にどんなAPPがなくても、WeChatは絶対入っている。
  • Bilibili
    2009年に誕生したBilibiliは、 2018年にナスダックに上場。ニコニコ動画を原型とした弾幕型動画SNSである。「弾幕」という日本の文化は中国の若者にドンピシャでヒットした。Bilibiliはご多分に漏れず海賊版的な動画プラットフォームから始まり、現在では正規ライセンスを持ちながら中国の若者が最も好むサブカルチャービデオプラットフォームに成長するという、「コピーインチャイナ」から脱出を遂げた代表的なサービスの一つとも言える。蛇足だが、日本の文化やサービスのエッセンスは2010年代においても中国市場ではユニーク且つ有効であり、中国市場に参入するノウハウや、(もう一段踏み込んで言えば)清濁併せ呑むことが難しいということである。逆に、大変なのは百も承知で言えば、この二つを除けば現在でも日本の文化や商品・サービスは「行ける」ことを証明している。

    同じく優秀な動画サイトとしては「Iqiyi」、「YOUKU」、「Tudou」などがある。

  • 斗魚TV(Douyu TV)
    前ACFUN生放送,2014年に「斗鱼TV」(Douyu TV)に正式に名称変更した。2019年ににてナスダックに上場。中国のライブアプリにおける激しい戦いを生き残りかつ最大のライブプラットフォームへとなった。このプラットフォームを通して知名度を上げたインフルエンサーは数多くおり、ライバーとしてこれから名乗りを上げるならばこのプラットフォームを置いて他にはない。
  • 今日头条(Toutiao)
    2012年に誕生
  • 抖音(Douyin)
    2016年に誕生
  • 快手(KuaiShou)
    2011年に誕生

この3つのプラットフォームは直近では最も成功を収めたSNSであり、世界のトレンドを作る側に回った代表的な中国ITサービスである。「モデルインチャイナ」という言葉は、狭義ではこれらを指している(後ほどこの3つのサービスについてさらに深く解説していく予定である)。

SNSの発展

なぜ中国経済で劇的な変化が生まれているのか?

日本の主要なメディアでの中国経済に関する記事を見ていると、たまにこんな風に思うことがある。「日本がガラパゴスというよりは中国こそ世界最大のガラパゴスなのではないか」と。ほとんどの中国経済に関する情報は、びっくりするくらい情報が遅いか、情報の遅さも相まって「今日段階では正しくない」情報もある。特にITに関してはどこの中国なんだろう?と思うほど有象無象の情報がまことしやかに飛び交っている。

本稿を見て頂いている日本の方々はこの界隈に興味を持って読んで頂いていると思うので、それなりに現代中国経済やIT事情についての基礎知識や歴史も知っておいて損はないだろう。ここでは何組かの対比例を使って、中国経済の変化を見比べていきたいと思う。より多くの日本の方々が、私の文章を通して現在の中国をより深く理解できるようになってもらえるとうれしい。

  • 対比例1:(環境汚染がひどい)ディーゼルバスから次世代水素燃料バスへ
  • 対比例2: 社員十数人のアリババが20年程度で世界最大のECプラットフォーマー
  • 対比例3: 質素な家庭内装もスマート家電を配置したオシャレな内装へ

なぜこのような変化がうまれたのか?主に以下の理由かと思われる。

  1. コンシューマーの消費力の質的向上は、消費者の行動変化をもたらした
  2. ソフト・ハードウェアのバージョンアップによって、次元の違う消費者体験をもたらした
  3. 趣味嗜好の多様化によるSNSの多元化,消費能力の違いがもたらす変化

中国SNSを中心としたメディアの変化は、常に世代の変化に機敏に反応している。

中国の改革開放路線前後は、「中国改革开放前后几年」、つまり生活はとても乏しいものだった。

私は1982年に首都である北京で生まれたが、生活において求めたものは「お腹を膨らませるため」の食べ物であり、「生活するために着る」ための服を買うだった。北京でさえそうなのに、田舎の方はもっとつらいはずだ。

あの時代は、メディアといえば新聞と本だけだった。テレビでさえ贅沢な代物である。日本で話題になった「三丁目の夕日」の景色とそれについて思いをはせる心情は、中国では1980~1990前半のことではないかとさえ思う。

1970~1980年代生まれの世代において、社会的に成功できた人はほぼ「頼りは自分のみ」であった。裕福になれない人も多くいる中、私たちは苦労を知っているから消費に対してどこか慎重で、ともすると何か買うと何かを失うのではないかという恐れすらあった。

そのような心持ちで、私たちの年代では無意識に消費を恐れて我先に海賊版を使っていたし、その消費者動向を把握した海賊版を中心としたプラットフォームもこの時期に多く現れた。当時の私たちの気持ちは、海賊版だろうとなんだろうと「お金を使わないことは正義」であった。

1990年代生まれの世代の人たちは、親が1960年代生まれで、祖父母はほとんど1940年代生まれの人達である。この年代の最大の特徴は、上述した「生きるための消費」については考えたことがないのである。開放改革経済が進んだ後で親がそこそこ財を積んでおり支援もあるため、私たち世代に比べ可処分所得が大きく日常生活面におけるプレッシャーは少ない。そうした状況からか、好きなものや自分で良いと思ったものに対しては、むしろ我先に買って自慢をする世代である。消費者の消費欲求が上がった結果、より多くの物・サービスがハイクオリティでなければ、彼ら世代に受け入れられなくもなってきた。

さらに時代は進み、2000世代、ミレニアル世代の人たちは,親が1970年代の人たちであり、裕福であるだけでなく、「世界」を知っている世代であり、消費に対して独特の見解がある。彼たちの消費理念は、欧米などのような先進国に似ている。SNSを使ってやりとりをしている時も、動画コンテンツを見ている時も、彼らはコンテンツに対してよりダイレクトな消費行動を取る。現在の日本の若者の消費傾向をよりバブリーにした状態だ。ミレニアル世代の消費行動は、単に物を購入するというよりは、興味のあるコンテンツやストーリーを通して「モノ」を購入する。消費だけではなく「消費体験」を。そして消費体験をバブリーに。これこそが現在の中国の若者共通の消費傾向であり、いま最もメインストリームとなっているソーシャルECが発達したニーズである。

つづく

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